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- 森林セラピー®とは

森林浴という言葉が生まれてから27年。ただし、その効能については医学的なデータが少なく、客観的な根拠が整っていませんでした。ところがここ数年、人の生理的反応を医学的に計測し、評価する技法が飛躍的に進んでいます。森林浴がもたらす生体反応を、①唾液中のストレスホルモンや心拍変動、②血中の抗ガンタンパク質の変化などで読み取り、森の効果を解明していくことが可能となってきました。
森林セラピーは、こうした医学的なエビデンス(証拠)に裏付けされた森林浴効果をいい、森林環境を利用して心身の健康維持・増進、疾病の予防を行うことを目指すものです。
具体的には、森の中に身をおき、森林の地形を利用した歩行や運動、森林内レクリエーション、栄養・ライフスタイル指導などの方法によって、これらの目的を達成しようとするセラピーをいいます。いわば、一歩進んだ森林浴です。森を楽しむことで、心身の快適性を向上させ、保養効果を高めていこうというものです。
森林セラピーは、医学や医療システムを背景にした森林内での保養活動一般を指し、リラクゼーション効果や免疫機能の改善など予防医学的効果を期待するものです。医療の実践面ではエビデンスに基づく慎重な対応を図ることが課されています。将来的には森林セラピーは医療分野の各種療法を担う可能性がありますが、エビデンスが確かなものとなる以前は、森林内の療法は医師の指導抜きで行うものではありません。
すでに、「森林セラピー基地」と「セラピーロード」は、全国に42ヶ所誕生しています。森の香りや空気の清浄さ、美しい森の色彩や景観などが人の生理に及ぼす効果について、医学実験による検証を終え、お墨付きを得ている森です。各基地では、セラピーメニューが用意され慎重な試みがはじめられています。
来訪者を誘(いざな)うのは、「森林セラピスト」です。全国統一の資格検定(2009年度開始)を了した森林セラピストたちは、森林セラピーを通じて心とからだの健康を維持・増進していくための補助と助言を行っていきます。
日々の競争社会に疲れたとき、自然の営みの中に身を置くことにより、疲れを癒します。母なるものの懐に還って心身を癒すと同時に、森の美しさ、楽しさを発見し、その感激を芸術や文学として表現したくなります。ストレス社会のいま、母なる存在、森がもつ癒し効果や知的なエンパワーメント効果は、ますます注目されていくことでしょう。
(引用文献)
1) 宮崎良文ほか : 森林医学Ⅱ. 朝倉書店, 2009
2) 平野秀樹ほか : 森林医学Ⅱ. 朝倉書店, 2009
体でわかる森の「癒し効果」
木々の中に立っていると、何もしなくともそれだけで心癒されますが、さらに効果的に森林パワーを感じるためのキーワードがあります。それは人間に備わっている5つの感覚「五感」です。人間の体には視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚と呼ばれる感覚があります。これらを意識して個人の価値観に応じた森林セラピーを楽しむことによって、森の力をより明確に実感できます。
「五感」でとらえる森のパワー
人間はもともと自然環境の中で生活していました。現代の人工的な環境での生活は、本来の人間の生活とは違い、大変なストレスを与えます。森林セラピーはこのような環境からのストレスを改善するという点からも大きな効果を持っており、人々の心を癒すといわれています。
このような、心身に癒しを与える「森の力」を享受する方法として、最も基本的なやり方は「五感」を働かせることです。森の中や周辺で耳や目、鼻、手足、味覚等の五感のアンテナを研ぎ澄ませて、木々の息吹や風のざわめきを感じてください。そして、その中でいちばん自分に合ったリラックス法を探してみましょう。人によって心地よく感じるポイントは異なりますが、自然の中で本来あるべき場所にいるという快適感を全身で感じ、楽しむことができるでしょう。
![]() 森の音に天然の鎮静効果 一見静かな森の中でも、木立の葉が風に揺れる音や小鳥のさえずり、水の流れる音などが、絶え間なく響き続けています。ささやかなこれらの音を聞くことによって、人間の体では、血圧の低下や脳活動の鎮静化などの効果が起こることがわかっています。また、目を閉じることで、耳への意識がいっそう集中するでしょう。 | ![]() 自然の感触を楽しむ 手のひらや足の裏で、木の葉や木の幹に直接触れてみましょう。人工的な素材ではなく、自然由来のものに触れることで、よりくつろいだ感覚や心地よさを感じることができます。また、気に入った巨木が見つかったら抱きつくことでも心を落ち着かせる作用があるのでおすすめです。 |
![]() 映像から得る癒しの力 森の風景を見ることで体が受けるリラックス効果は、とても大きなものです。ただ森の緑を眺めるだけでも血圧の低下や脳活動が鎮静化するなどの作用をもたらします。また、日本人特有の感覚として、満開の桜を見ることで脈拍が増し、わくわくする傾向があります。 | ![]() 鼻で感じるリフレッシュ効果 香りが脳に働きかける作用は直接的で大きなものです。特徴的なスギやヒバといった木の香りは血圧や脳の活動を鎮静化させ、怒りや緊張などを緩和させる効果があります。また、大きく深呼吸することで森林にたくさん放出されているフィトンチッドを取り入れることができます。 |
![]() 自然の味を楽しむ 森林は有機物の宝庫。森林セラピー認定基地の中には、木の実やキノコ、湧き水などを味わうことのできる森があります。新鮮で力強い大地の滋味を口にすることで、心の充足感はもちろん、体にもよい効能を享受することができます。季節に応じた森の恵みを堪能してください。 |
欧米諸国では一般的
ドイツをはじめとした欧米諸国では、古くから水や植物による自然療法が大変盛んに行われています。森林セラピーはその一つの要素として位置づけられています。各地の森林には保養のための施設があり、行政や研究機関による協力体制も整えられています。また、保険の適用が可能であるなどの法的な支援もあることで、より人々が森林セラピーに親しみやすい環境となっています。
欧米では盛んな森林セラピー海外事情
緑豊かな欧米の地域において、各国の自然療法に対する取り組みはさまざまです。フランスではオーヴェルニュ地方の自然療法として森林ガイド付き森林浴が行われています。「トロンセの森」などが有名です。スイスでは、「ビタパルコース」と呼ばれる健康増進のためのエクササイズコースが国内に約500ヵ所もあり、賑わっています。イギリスでも心臓病予防のための「健康トレイル」があります。これも行政の援助によって整備されてた理想的な森林セラピーコースです。 医療的保養の一つに森林セラピーが取り入れられているというスタイルは、これら欧州諸国の国々に見られる特徴です。いずれの国でも、もともとの自然環境を有効に利用した保養施設が整えられ、より自然に近い効果的な保養コースとなっています。
保険も適用 ドイツの「クナイプ療法」
ドイツにはセバスチャン・クナイプによって提唱された「クナイプ療法」という自然療法があり、その重要な柱として、その一環として森林セラピーが早くから行われています。これは世界の森林セラピー先進事例の中でも特に有名です。ドイツ国内には64ヵ所の保養地があり、これらにクナイプ医師連盟が調査・設計を行った森林散策コースがあります。また、保養地にある保養宿泊施設のすべてには、医師が往診・常勤できる仕組みとなっています。
クナイプ療法の画期的な点は、社会健康保険が適用されるというところにあります。また、ドイツでは4年に一度3週間の保養を行うことが法的に認められているので、これを利用してクナイプ療法を行う人も多くいます。さらに、病気予防を目的とした利用に対しても、時期を問わずいつでも自然療法を受けられるなどの柔軟な制度により、クナイプ療法は広く普及しているのです。
中でも、クナイプ療法の発祥の地バート・ウェーリスホーフェンには、毎年100万人近い人が訪れています。この地の行政機関と民間の医療団体の間にはしっかりとした協力体制が取られており、これも、この地の自然療法が盛んな理由の一つだと考えられます。



一見静かな森の中でも、木立の葉が風に揺れる音や小鳥のさえずり、水の流れる音などが、絶え間なく響き続けています。ささやかなこれらの音を聞くことによって、人間の体では、血圧の低下や脳活動の鎮静化などの効果が起こることがわかっています。また、目を閉じることで、耳への意識がいっそう集中するでしょう。
手のひらや足の裏で、木の葉や木の幹に直接触れてみましょう。人工的な素材ではなく、自然由来のものに触れることで、よりくつろいだ感覚や心地よさを感じることができます。また、気に入った巨木が見つかったら抱きつくことでも心を落ち着かせる作用があるのでおすすめです。
森の風景を見ることで体が受けるリラックス効果は、とても大きなものです。ただ森の緑を眺めるだけでも血圧の低下や脳活動が鎮静化するなどの作用をもたらします。また、日本人特有の感覚として、満開の桜を見ることで脈拍が増し、わくわくする傾向があります。
香りが脳に働きかける作用は直接的で大きなものです。特徴的なスギやヒバといった木の香りは血圧や脳の活動を鎮静化させ、怒りや緊張などを緩和させる効果があります。また、大きく深呼吸することで森林にたくさん放出されているフィトンチッドを取り入れることができます。
森林は有機物の宝庫。森林セラピー認定基地の中には、木の実やキノコ、湧き水などを味わうことのできる森があります。新鮮で力強い大地の滋味を口にすることで、心の充足感はもちろん、体にもよい効能を享受することができます。季節に応じた森の恵みを堪能してください。